一条ゆかり先生の『プライド』全12巻を読みました。
『プライド』を読むきっかけになったのは、友人から同じ一条ゆかり先生の作品『砂の城』をすすめられたことでした。
『砂の城』を読んだあと、「一条ゆかり先生の作品、もっと読んでみたい」と思って購入したのが、この『プライド』です。
タイトルから、最初は「オペラや音楽の世界で、それぞれのプライドをかけて競い合う物語なのかな?」と思っていました。
もちろん物語の中心にはオペラがあります。
でも全12巻を読み終えて、私が一番強く感じたのは、
「プライドが邪魔をしていた二人が、やがてライバルとして、そして友人としてお互いを認めていく物語」
だったということでした。
今回はそんな『プライド』を、あらすじとともに振り返ってみたいと思います。
『プライド』はどんな漫画?
『プライド』は、一条ゆかり先生による作品です。
物語の中心となるのは、オペラ歌手を目指す二人の女性、麻見史緒(あさみ・しお)と緑川萌(みどりかわ・もえ)。
史緒は、亡くなった有名オペラ歌手を母に持つ資産家のお嬢様。
一方の萌は、アルバイトをしながらオペラ歌手を目指す女性です。
育った環境も、性格も、価値観もまったく違う二人。
そんな二人が出会ったことで、物語は大きく動き始めます。
華やかなオペラの世界を舞台にしながら、そこに描かれているのは、才能、嫉妬、恋愛、家族、野心、そして「自分は何者なのか」という葛藤。
まさに一条ゆかり先生らしい、ドラマチックな作品です。
1巻~3巻|史緒と萌、二人の歌姫の出会い
物語の始まりは、史緒と萌の出会いから。
資産家のお嬢様として何不自由なく育った史緒と、アルバイトをしながら夢を追いかける萌。
同じ「オペラ歌手になりたい」という夢を持っていても、二人の置かれている環境は正反対です。
やがて二人はクラブ「プリマドンナ」で関わるようになります。
歌う喜びを取り戻していく史緒。
その一方で、同じ店で働くことになった萌は、史緒の才能や存在そのものに激しい嫉妬を抱くようになります。
そして3巻では、史緒と萌がステージでデュエットすることに。
互いに嫌悪し合っている二人なのに、歌声を重ねたときには、意外な化学反応が生まれます。
ここから二人の関係は、単純な「仲の悪いライバル」では終わらなくなっていきます。
4巻~6巻|才能、恋愛、そしてそれぞれの道
オーディション番組でeikoに敗れた史緒たち。
しかしテレビ出演による反響からCMの話が舞い込み、再びeikoとの対立が生まれます。
さらに神野、蘭丸など周囲の人物との関係も絡み合い、物語は恋愛ドラマとしても大きく動き始めます。
5巻では、蘭丸への想いが強くなる史緒。
しかし神野との婚約が公になり、萌の嫉妬も限界に達します。
史緒が怪我を負わされるという衝撃的な展開もあり、二人の対立はさらに激しくなっていきます。
そして6巻。
史緒は、蘭丸をあえて冷たく突き放し、ピアニストのベティとの渡米を決心させます。
そして自分自身も歌のために、愛していない神野との結婚を選び、ウィーンへ。
一方、萌はミラノへ留学。
二人はそれぞれ別の場所で、自分の歌と人生に向き合うことになります。
7巻~8巻|離れていても続くライバル関係
ウィーンで生活する史緒。
ミラノで成長していく萌。
そしてニューヨークで経験を積む蘭丸。
それぞれが世界で経験を積み、再び交わっていきます。
7巻ではSRMのユニット活動が再開。
史緒、萌、蘭丸の3人によるレコーディングも進んでいきます。
しかし、もちろん簡単にはいきません。
そして8巻では「春の声コンクール」をめぐり、史緒と萌が再び同じ舞台に立つことになります。
ここがとても面白いところです。
最初は「自分より史緒が上なのが許せない」と嫉妬していた萌。
しかし、経験を積んだ萌は、少しずつ自分自身の歌に自信を持つようになります。
単なる「お嬢様VS貧しい少女」という構図ではなくなっていくんですよね。
二人とも、それぞれの場所で努力して成長している。
だからこそ、再び対峙したときの緊張感があります。
9巻~10巻|萌の妊娠と、それぞれの人生
9巻では、SRMがベティの前座に抜擢され、史緒、萌、蘭丸の3人が上海へ。
しかし萌は妊娠中。
さらに萌の母親の存在も物語に大きく関わってきます。
10巻では、萌のお腹の子どもの父親が誰なのかという問題まで浮上。
マルチェロなのか、神野なのか。
そして金銭目的で萌に近づく母親。
恋愛だけではなく、家族や人生そのものが絡み合い、物語はさらに複雑になっていきます。
一方の史緒も、神野への信頼を深め、結婚を現実のものとして受け入れ始めます。
ここまで来ると、最初の頃の史緒と萌とは、二人ともずいぶん変わったなと感じます。
11巻~12巻|二人がたどり着いた場所
11巻では、史緒がカミラの代役に抜擢されます。
歌手として大きなチャンスをつかみ、さらに高みへと進んでいく史緒。
一方、萌の母親は娘と神野の結婚を要求するため、神野家へ乗り込むという波乱の展開に。
そして11巻には、一条ゆかり先生の代表作『有閑倶楽部』とのコラボ作品「無閑倶楽部」も収録されています。
そして最終12巻。
ウィーンでのデビューを果たした史緒は、SRMのレコーディングのために帰国。
出産を控え、幸せに満ちた萌と再会します。
そこで史緒は、これまでとは違う萌の姿を知ることになります。
そして二人の間には、新たな絆が生まれていきます。
『プライド』というタイトルの意味を考えてみた
この作品を読み終わって、改めて「プライド」というタイトルについて考えました。
最初は、
「オペラ歌手としてのプライド」
という意味なのかなと思っていたんです。
もちろん、それもあると思います。
才能へのプライド。
自分の生き方へのプライド。
恋愛に対するプライド。
お嬢様としてのプライド。
そして、歌手としてのプライド。
いろいろな「プライド」が物語の中に出てきます。
でも、私が一番印象に残ったのは、
「ライバルだからこそ、お互いを認められない。そのプライドが二人の間に壁を作っていた」
という部分でした。
史緒と萌は、ずっと相手を意識しています。
嫉妬したり、反発したり、傷つけたり。
でも、相手がいるからこそ、自分も成長していく。
これって、ある意味では「ライバル」の理想的な形なのかもしれません。
ライバルと友情は両立する
『プライド』を読んで私が一番好きだったのは、ここです。
普通なら、
「ライバル=敵」
という描き方になりそうなのですが、この作品は違います。
最後には、二人が単純な敵同士ではなくなっていきます。
ライバルだけど、相手の実力を認める。
ライバルだけど、相手の人生を思う。
ライバルだけど、友人にもなれる。
そんな関係が描かれているように感じました。
だからこそ、最終巻の史緒の決断には胸を打たれました。
あのプライドの高い、お嬢様育ちの史緒が、萌の子どもを引き取って育てる。
最初の頃の史緒を知っているだけに、
「ここまで変わったんだ……」
と思ってしまいました。
もし二人が最後まで「自分のほうが上」というプライドだけにこだわっていたら、そんな選択はできなかったと思います。
二人がようやく、ライバルとしても、友人としても、お互いを認めるところまでたどり着いた。
だからこそ、私は史緒が萌の子どもを引き取ってくれてよかったと思いました。
ただ、最後は少し悲しかった
二人がようやく、お互いを認め合えるところまで来た。
「やっと友達になれたんだな」
と思ったところで迎える最後は、やっぱり少し悲しいです。
長い間、嫉妬や対立を繰り返してきた二人。
だからこそ、
「もっと早く、こんな関係になれていたらよかったのに」
と思ってしまいました。
でも、長い時間をかけたからこそ、二人の関係には重みがあるのかもしれません。
最初から仲良しだったら、ここまで強い絆にはならなかったでしょう。
傷つけ合って、競い合って、離れて、成長して。
それを繰り返したからこそ、最後に生まれた関係が印象に残ります。
まとめ|音楽漫画だと思って読んだら、人間ドラマだった
『プライド』はオペラを題材にした作品です。
華やかな音楽の世界、海外留学、コンクール、恋愛……。
一見すると、とても華やかな物語です。
でも、読み終わって私の心に一番残ったのは音楽そのものではありませんでした。
史緒と萌という、まったく違う二人の女性の生き方。
そして、
ライバルから友情へと変わっていく二人の関係。
それが一番印象に残りました。
「ライバルと友情って、両立するんだ」
と思わせてくれた作品です。
タイトルの『プライド』も、最後まで読むと違った意味に感じられるかもしれません。
自分を守るためのプライド。
人を負かすためのプライド。
そして、時にはそのプライドを手放して、大切な人を受け入れること。
そんな「プライド」の形が描かれている作品なのではないかなと思いました。
一条ゆかり先生の作品が好きな方はもちろん、『砂の城』など一条ゆかり作品を読んでいる方にもおすすめしたい作品です。
全12巻なので、二人の関係がどう変化していくのかをじっくり追えるのも魅力。
「ライバルだけど、最後には相手を認められる」
そんな物語が好きな方には、ぜひ読んでほしい漫画です。
📖 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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